ソラは、あるオンライン対戦ゲームをやっていません。

教室では、毎日そのゲームの話が出ます。動画配信者が紹介した技や、新しいキャラの話で大盛り上がりです。

「え、ソラやってないの? クラスのみんなやってるよ」

ソラは、自分だけが世界の流行から取り残されたような、寂しい気持ちになりました。家に帰ってから、リンに言いました。

「クラスのみんながやってるんだって。動画アプリでも、そのゲームばかり流れてくるし」

リンが、それを聞いて静かに言いました。

「みんなって、何人?」

「え……」

次の日、ソラがクラスの34人に聞いてみたら、どうだったと思う?

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実際に1人ずつ聞いてみると、やっていたのは34人のうち11人でした。3人に1人くらいです。そして、教室で毎日大きな声で話していたのは、そのうちの5人でした。

残りの23人は、やっていませんでした。ソラと同じように、「自分以外の全員がやってるのかな」と不安になっていた子もいたのです。

さらにリンが言いました。

「スマホや動画のおすすめ画面も同じよ。ソラが一度そのゲームの動画を見ると、アプリが『この人はこれが好きだ』と判断はんだんして、同じゲームの動画ばかりを画面に並べるの」

自分が見たものや、好きな情報じょうほうばかりで画面が埋め尽くされると、まるで世界じゅうがその話で持ちきりのように感じてしまいます。

「ぼくとリンって、同じアプリを開いても、ぜんぜん違うおすすめ画面を見てるんだね」

「そうよ。だから『みんなが言ってる』は、教室の大きな声や、画面の偏ったおすすめにすぎないこともあるの」

ソラは肩の荷が下りた気がしました。「みんな」という言葉に押されて決めるのをやめ、自分が本当にやりたいかどうかをゆっくり考えればいいのだと分かったからです。