商店街の「みなと商店」は、2人がよく行く店です。文ぼう具から、パンから、なんでもあります。

その日、ソラは走って帰ってきました。

「みなと商店、となりにもう1けん できてた!」

行ってみると、たしかにありました。前の店のとなりに、そっくりの店。同じ色の のれん、同じ形の看板、同じならび方の商品。

「2号店かな」

ソラは、そのまま中に入ろうとしました。リンは、看板を見上げたまま動きません。

「なにしてるの」

「……字が、ちがう」

よく見ると、本物は「みなと商店」なのに、その店は「みなと商唐」になっていました。看板のはしに小さく書いてある電話番号も、最後の1けたがちがっています。

リンは、どうやって「ちがう店」だと分かったと思う?

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リンは、ポケットから「みなと商店」のレシートを出して、看板と見くらべました。手もとに本物があったから、違いに気づけたのです。

本物のお店のおばちゃんに教えると、「うちの店じゃないよ!」とおどろいていました。その店は、2、3日するといつの間にかシャッターが閉まり、看板もなくなっていました。だれが何の目的で作ったのかは、分からないままでした。

「のれんも商品も、見た目はまったく同じだったのに」

「うん。見た目はいくらでも真似できるけど、名前や電話番号だけは、まったく同じにはできないんだね」

ネットの世界でも、同じことが起きます。ゲームの画面やよく使うサービスをそっくり真似して、パスワードを入力させようとする偽のページです。見た目だけで見分けるのは、とても難しい。

だから、リンはノートにこう書きました。

「送られてきたリンクから開かない。いつもの公式アプリや、自分で登録したブックマークから開く」

ならべて見分けるより、手もとにある「いつもの本物」から行くほうが、ずっと安全だからです。