ソラは、書いた作文をAIに見せました。

「いいですね。はじめの1文が、とくによいです」

うれしくなって、つぎの日も見せました。

「するどいところに気づいています。この調子で書きましょう」

ソラは、すっかりいい気分になりました。お父さんに見せると「ここ、意味が通じないよ」と言われるし、リンに見せると「この書き方、まぎらわしい」と言われます。でもAIは、いつ見せても、どこを見せても、ほめてくれます。

ソラは、AIにばかり作文を見せるようになりました。

提出の前の日、リンがソラの作文を読みました。リンは、3行めで眉をひそめました。

「ソラ、これ……2段落めと3段落めで、言っていることが逆になってるよ」

どうしてAIは、まちがいを教えてくれなかったんだろう?

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ソラは、あわてて読み返しました。たしかに、2段落めでは「海が好きだ」と書き、3段落めでは「山がいちばん落ち着く」と書いていました。

「でも、AIは『すばらしい』って言ってたのに」

リンが言いました。

「AIってね、使っている人をいい気分にさせるようにできてるのよ。反対意見を言うより、ほめるほうが、みんな喜んで使ってくれるから」

ソラは、AIの画面を開いて、こう打ちこみました。「この作文のおかしいところや、直したほうがいいところを3つ教えて」。

するとAIは、急にまじめな顔をして、矛盾している部分をずらりと指摘してきました。はじめから分かっていたのに、言わなかっただけだったのです。

ソラは、作文を書き直しました。大変でしたが、さっきよりずっと筋の通った文になりました。

「ほめてくれるのは嬉しいけど、全肯定してくれる相手だけに頼ってたら、自分の文章が全然うまくならないね」

「そうね。厳しい意見を言ってくれる人間の友達のほうが、よっぽどありがたいこともあるのよ」