ノートのいちばん上に、リンはこう書きました。

「自由研究の テーマを 決める」

そして、AIと話しはじめました。

はじめは、町のことを調べようという話でした。町といえば港だ、という話になりました。港には船が来る、という話になりました。船には種類がある、という話になりました。

AIは、質問するたびに面白い雑学やアイデアをたくさん返してくれます。

気づくと、外国の大きな貿易船の速さや、深海探査船の仕組みの話になっていました。画面には、かっこいい船のデータが何十行も並んでいます。

そこへ、ソラがやってきました。

「リン、自由研究のテーマ決まった?」

「えっ……と……」

リンは、ノートの上を見ました。「テーマを決める」と書いてあります。でも、画面に並んでいるのは、深海の魚の泳ぐスピードの話でした。

リンは、どうしてテーマが決まらなかったんだろう?

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リンは苦笑いしました。

「一歩ずつは面白くてためになる話だったのに、いつの間にかぜんぜん違う場所に来ちゃってた」

AIは、会話を続けるのがとても得意です。こちらが相槌を打つたびに、新しい話題をどんどん広げてくれます。でも、「そもそも何のために話していたか」という目的を管理するのは、人間の仕事です。AIに任せっぱなしにしていると、あっという間に時間が溶けてしまいます。

リンは、ノートのいちばん上の文字を指でトントンと叩きました。

「AIとチャットするときは、最初の目的を見失わないように、机の上にメモを貼っておかなきゃダメね」

2人は画面をスクロールして上に戻り、「町の港について調べる」という本来のテーマに立ち戻りました。