リンは、聞きたいことを5つ、紙に書いていきました。

町の港ができた年。いちばん古い建物。むかしの祭りの名前。船の数。そして、川にかかっていた古い橋が、いつこわれたか。

図書館のAIは、5つとも答えました。つっかえることもなく、順番どおりに。

「すごい。ぜんぶ分かった」

ソラも、のぞきこんで感心していました。

2人は、答えをノートに書いて、公民館へ行きました。古い写真や資料が展示してある場所です。4つめまでは、展示の説明板とぴったり合っていました。

5つめの、橋の話のところで、公民館の館長さんが首をひねりました。

「その橋が流された年はね、記録が残っていないんだよ。大水が出たことは確かだが、何年だったかは、今も分かっていないんだ」

AIは、なぜ「わかりません」と言わなかったんだろう?

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図書館にもどって、2人はもう一度AIに聞きました。「あの橋がこわれた年は、本当に合っていますか」。

AIは、こう答えました。

「諸説ありますが、近隣の記録から推測される年代を出力しました」

「推測だったの!?」

ソラが声を上げました。さっきは「1885年に流されました」と、はっきり言い切っていたのです。推測だとは、一言も書いてありませんでした。

リンは、ノートの5つめに大きくバツ印をつけました。それから、「記録なし・年代不明」と書きなおしました。

「5つとも答えてくれたから、全部合ってると思っちゃった」

「うん。1つでも『それは分かりません』って言ってくれたら、気づけたのにね」

AIは、自信満々の口調で答えます。でも、自信のある言い方と、本当に合っているかどうかは、まったく別です。何でも答えてくれるときこそ、本当は一番あぶないのです。