第8話ふしぎな話
2ぷん
えんぴつの線が ひいてある本
図書館で借りた本に、えんぴつの線が引いてありました。うすい線が、何ページにもわたって引いてあります。
「だれかが引いたんだね」
「消しゴムで消そうか」
「やめとこ。もっと うすくなるだけだよ」
2人は司書さんに見せに行きました。司書さんは、しばらく本を見てから言いました。
「借りたものだからね。もとのまま返すのが約束なの」
そのとき、ソラが自分のかばんを見ました。中には、学級新聞の下書きが入っています。ネットで見つけた町の歴史の紹介文を、そのままコピー&ペースト(コピペ)して貼りつけたものです。
「…あれ」
「どうしたの」
「これ、ネットから勝手にコピペした文章だ。著作権のルールに違反しちゃうかも」
ソラは、どうしたと思う?
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司書さんは、こう教えてくれました。
「人の作った文章を使うときはね、だれが作ったものかをはっきり書く『引用』というルールがあるのよ。勝手に自分のもののように使っちゃいけないの」
ソラは、下書きの文章をかぎかっこで囲み、引用のルールを守ることにしました。
ソラは新聞の下に、小さく1行たしました。どの本やウェブサイトの、どこから引用したのか。そして、自分の考えた言葉をその下にたっぷり書き足しました。
「これ、引用元を書いたほうがかっこいいね」
「うん。どこまで調べて書いたか、読む人にもしっかり伝わるもん」
かんたんにコピペできることと、自分のものになることは、べつ。かぎかっこで分けて、どこから引用したかを書いて、自分のことばを多くする。
この話に名前をつけるなら 適法引用の3要件と出典明記星間航海士の手引き 31
やってみて いま使いたい本かウェブページを1つ選んで、どこにあったかを紙に1行で引用元として書いてみて。
詳細解説
図書館の本の書きこみから、引用の要件へ接続する話です。括弧で区切る・出所を書く・自分の記述を主にする、の3点を扱い、3点目を最重要に置いています。
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背景と目的
著作物の利用を「してよい/いけない」の二値ではなく、形式を満たせば正当に使えるという手続きの問題として理解することが目標です。著作権法上の引用要件を、小学生の語彙に落としたものが本文の3点です。
- かぎかっこで分ける ― 明瞭区別性
- どこにあったかを書く ― 出所の明示
- 自分のことばのほうを多くする ― 主従関係
3点目を最重要に置いているのが、このページの立場です。
組み立ての工夫
借りた本への書きこみという物理的で判定の容易な例から入り、自分のかばんの中の学級新聞へ折り返す構成にしました。他者の逸脱を見てから自分の行為に気づく、という順です。
3点目(自分のことばを多くする)を最重要としたのは、括弧と出典さえ付ければよい、という形式主義的な誤解が実際に最も多いためです。主従関係が崩れていれば、形式を満たしても引用にはなりません。
補足と注意点
本文は生成AIの出力の扱いには踏みこみません。権利関係が確定していない領域であり、しらべノート30で「決まっていないことがある」と正直に書いています。
司書の「もとのまま返すのが約束なの」は、消しゴムで消すことも解決にならない、という判断を含みます。元に戻せないという点は、第9話(消した写真)・第12話(もどせないこと)と同じ筋です。