この章の使い方

この章は読み物ではなく道具です。提案や報告を受ける前に開き、確認できた項目にチェックを入れてください。チェックの状態はこの端末のブラウザ内に保存されるため、次に開いたときも残ります。

印刷にも対応しています。ヘッダー・サイドバー・フッターは印刷されず、チェック欄が枠として出るので、そのまま会議に持ち込めます。

使い方のコツ

時間がないときは「提案を受けたときの5問」と「危険信号になるフレーズ」の2つだけで足ります。残りは、金額が大きい案件や社外への発注のときに開いてください。

全項目を毎回確認する必要はありません。金額の大きい案件、社外に発注する案件、機密情報を扱う案件では全項目を、社内の小さな取り組みでは「提案を受けたとき」の5問だけを使う、という運用が現実的です。チェックが埋まらない項目が、そのまま次の質問になります。

提案を受けたときの5問

最小限の確認です。1つでも聞けば議論の粒度が変わります。

提案書に含まれているべき数値

答えが返ってきたときの読み方

質問より難しいのは、返ってきた答えの扱いです。誠実な相手でも「分かりません」と答えることがあり、それは弱さではありません。判断に使えるのは、答えの中身と同じくらい答え方です。

返ってきた答えの型と、その意味
答え方読み方次の一手
数字と条件がすぐ出てくる実際に手を動かしているその数字を議事メモに書き留める。あとで実績と照らす
「確認して回答します」最も誠実な答え。範囲を把握している証拠回答の期限だけ決める。急かさない
「分かりません」「条件は不明です」他社の内部条件なら、これが正しい答え自社で測る計画に切り替える
一般論に戻る(「AIというのは…」)その案件を具体的に検討していない可能性同じ質問をもう一度、対象を限定して聞く
質問の前提を否定してくる前提が本当に違う場合もある「では何を確認すればよいですか」と聞き返す
技術の説明が長くなる結論を避けているか、話が噛み合っていない「結論だけ先に伺えますか」で戻す
その場で数字が変わる数字の出所が計算ではない書面での提示を依頼する

2行目と3行目を覚えておいてください。「確認します」「分かりません」を減点にしてしまうと、相手は次から推測で答えるようになります。確認の目的は相手を追い込むことではなく、判断に使える情報を手元に残すことです。

社内の報告を受けたときの項目

外から来る提案と同じくらい多いのが、社内から上がってくる報告です。こちらは相手を疑う話ではなく、報告の様式に欄がないだけで条件が落ちるという構造の話です。

この5つが埋まらない報告は、悪い報告ではなく様式が要求していない報告です。個人に注意を促すより、書式に欄を1つ足すほうが確実に効きます。

危険信号になるフレーズ

いずれも、それ自体が不正の証拠ではありません。この表現が具体的な説明の代わりに使われているときに確認が必要になります。

危険信号フレーズと、聞き返し方
フレーズ聞き返し方
「AIで業務全体を最適化します」最初に着手するのはどの業務ですか。月間何件ですか
「いま始めないと遅れます」遅れると具体的に何がどれだけ不利になりますか
「大手企業も導入済みです」導入範囲はどこまでで、稼働から何か月経っていますか
「多数の導入実績があります」その案件は今も動いていますか。御社が実装されたものですか
「AIなので精度は使うほど上がります」何をどう追加すると上がるのですか。その作業は誰がしますか
「AIというのはそういうものです」設定・データ・プロンプトのどれを変えても改善しませんか
「AIがそう判断しました」入力に何を使いましたか。比較した選択肢は何でしたか
「うちは業務が特殊なので」特殊なのは品目・取引先数・承認階層・法規制のどれですか
「まずは小さく始めましょう」いつ・何を見て、進むか止めるかを判断しますか
「詳しい話は技術的になりますが」結論だけ先に伺えますか。判断に必要な点はどこですか

発注・契約で確認する項目

PoCを始める前に決める項目

社内の体制について確認する項目