この診断の使い方

自社のAI活用がどの段階にあるかを、4つの軸で測る自己診断である。各項目に「はい」で答えられるかを判定し、軸ごとの点数からレベルを見る。

目的は点数を上げることではない。最も低い軸を特定し、次の一手をそこに打つことである(第23章)。活用範囲を広げようとしても、データ整備度が低ければ着手ごとに調査から始まる。ガバナンスが低ければ、把握されていない利用が増えて統制が効かなくなる。

チェックの状態はこの端末のブラウザ内に保存される。印刷して関係者と突き合わせる使い方も想定している。

軸1. データ整備度

使えるデータがあるか、定義が一致しているか。第6章・第7章と連動する。

軸2. 組織体制

4つの役割に人がいるか、時間が確保されているか。第8章と連動する。

軸3. ガバナンス

区分・経路・責任分界・棚卸しがあるか。第16章・第21章と連動する。

軸4. 活用範囲と継続性

本番稼働して継続している件数と、その運用の質。第14章・第24章と連動する。

集計

軸ごとに「はい」の数を数え、下の表に書き込む。印刷して使う場合はこの欄に記入する。

軸別の集計欄
軸項目数「はい」の数割合
1. データ整備度6    / 6    %
2. 組織体制8    / 8    %
3. ガバナンス9    / 9    %
4. 活用範囲と継続性9    / 9    %
合計32    / 32    %

レベルの目安と次のアクション

合計の割合からレベルを判定する。ただし合計より、最も低い軸を見ることが重要である。

レベル別の状態と次のアクション
レベル目安典型的な状態次のアクション
レベル1
検討段階
25%未満個人利用が始まっている。組織としての取り組みは未着手。把握されていない利用がある可能性が高い入力してよい情報の3段階を決めて周知する。使用中のサービスを棚卸しする。この2つだけで実害の多くが減る
レベル2
試行段階
25〜50%PoCを実施している。本番化したものは少ない。データ調査に時間がかかる着手前に中止条件と判定期限を決める運用を入れる。件数の多い業務を1つ選び、データの棚卸しから完了まで通す
レベル3
運用段階
50〜75%本番稼働している仕組みがある。品質と費用の把握が部分的検証セットを作り、回帰テストを定期実行する。人による修正の割合を月次の項目に加える
レベル4
定着段階
75%以上複数の仕組みが継続稼働し、品質と費用が数値で管理されている共通の仕組み(社内検索・認証・プロンプトのテンプレート)を中核組織が提供し、個別の自作を減らす。失敗事例の共有を仕組みにする

軸ごとの読み方

低い軸ごとの症状と対処
低い軸現れる症状最初に打つ手
データ整備度着手ごとにデータ調査から始まる。部署間で数字が合わない件数の多い業務1つに絞ってデータの棚卸しと定義の統一を行う(第6・7章)
組織体制データ側と運用側が誰の仕事でもない。稼働後の劣化に気づかない4役割に名前を入れる。運用側に監視と費用管理を割り当てる(第8章)
ガバナンス把握されていない利用がある。責任の所在が曖昧で現場が使わない3段階の区分と申請経路(登録のみを含む)を作る(第16章)
活用範囲と継続性PoCの数だけが増える。品質が測れない中止条件の事前設定と、検証セットの作成(第9・14章)

診断結果の使い方

この診断は、次の3つの場面で使うことを想定している。

  1. 現状の共有 ― 経営層と現場が同じ項目を見て判定すると、認識のずれが具体的に現れる。ずれた項目そのものが議論の材料になる(第15章)。
  2. 投資の順序決め ― 最も低い軸に対する施策を優先する。活用範囲だけを広げても、他の軸が低ければ同じ問題が繰り返される。
  3. 定期的な確認 ― 半年または1年ごとに再診断し、変化を見る。項目が固定されているため、比較ができる。

1番目の使い方が最も実用的である。同じ32項目に対して、立場の違う人が別の判定をした場合、その差が組織内の情報の非対称性を示している。