ノート 11
星間航海士の手引き
約2分
大規模言語モデルと次トークン予測
巨大コーパスからの統計的パターン学習と次トークン確率計算による文章生成。論理的理解や事実把握ではなく「統計的補完」として駆動している実態を明らかにします。
大規模言語モデル(LLM)は、外部の知識データベースを検索しているのではなく、巨大なテキストコーパスから学習した統計的分布に基づき、文脈の直後に続く「次トークン」の確率分布を予測し、その分布と生成設定(サンプリング手法や温度パラメータなど)に従って逐次選択・出力しています。
文章を作るAIは、答えを覚えているのではありません。ここまでの文のつぎに来やすいことばを確率にもとづいて選び、それを足してまた選ぶ、をくり返しています。選ぶときに見ているのは「来やすさ」であって、「本当かどうか」ではありません。
この動作原理を理解すると、モデルの代表的な振る舞いや特有の癖を、次のように論理的に説明できます。
- 文章が極めて流暢である ― 単語間の接続確率を膨大に学習しているため。表現の巧拙と事実の正確性は完全に独立している
- 精緻な嘘を出力する ― 事実の真偽ではなく「文脈から統計的に自然につながる文字列」を生成しているため
- 質問の論調によって回答が変化する ― プロンプトに含まれる語彙によって後続トークンの確率分布が変動するため
- 「わかりません」と答えにくい ― 疑問文の直後に統計的に出現しやすいのは「回答形式の文」であるため
プロンプトによる誘導を補正するための実務技術が、「反対の聞き方でも、もう1回聞く」ことです。肯定的な問いと否定的な問いの双方を投げかけ、出力の揺らぎからモデルの迎合性を検知します。
詳細解説
次トークン予測という機構を1ページで説明し、そこから4つのふるまい(流暢さ・作話・聞き方依存・「知りません」の苦手)をすべて導出します。AIの部の理論的な中核です。
くわしく読む
背景と目的
個別の注意事項を暗記するのではなく、1つの機構から複数の現象を導ける状態にすることが目標です。機構を理解すると、本ページに書いていない新しい失敗にも対応できます。
組み立ての工夫
4つのふるまいを箇条書きにし、それぞれに「〜だから」という理由を併記しました。現象と原因を1対1で並べる形式にしたのは、参照ページとして引いた箇所だけで完結するためです。
持ち帰りを「反対の聞き方でも、もう1回聞く」にしました。聞き方が出力を引っぱるという性質の、実用的な裏返しです。
「ことばを1つずつ選んでつないでいる」という説明を、ページの冒頭に置きました。先に機構を渡してから4つのふるまいへ進む順にしないと、注意事項の一覧に見えてしまいます。
補足と注意点
確率・パラメータ・学習という語を使っていません。「ことばを1つずつ選んでつないでいる」で機構の要点は足ります。