「このメールを送信してよいか」とAIに尋ね、「文面に問題はありません」と返答されたことで、自らが十分な検討を経て決断したかのように錯覚する心理的責任転嫁が存在します。

判断の境界線は明確です。取り消しの利く可逆的な作業であれば、AIの推薦を全面的に採用しても損害は限定的です。下書きの作成、言い換え、要約は何度でもやり直せます。

しかし不可逆な決定は異なります。公表、契約、他者への指摘。これらは一度行えば相手の手元に残り、後戻りできません。そして何より、AIはその後の現実の波及結果を観測できません。

特に時間制限のプレッシャーに晒されている時ほど、AIの肯定を免罪符にして不可逆アクションを踏み越えやすくなります。決定を機械に委ねたくなった瞬間こそ、画面を閉じて人に相談すべき合図です。