ノート 01
事故記録アーカイブ
約1分
主観的意見の客観的事実化
ここに出てくる話は、ぜんぶ作ったお話です。だれかをうたがうためではなく、たしかめるためのページです。
「〜と言われている」「〜が懸念されている」といった無主語の伝聞表現を用いて、特定の主観的価値観を検証済み事実であるかのように偽装する論理トリックを暴きます。
発信主体の責任を曖昧にし、特定の主観的価値観をあたかも社会的合意や普遍的事実であるかのように提示するレトリックが存在します。これが「意見の客観的事実化」です。
同一の主張であっても、構文構造によって読者の批判的検証力は大きく変化します。
- 「当分析班は、本運用計画を見直すべきであると判断する」 ― 責任の所在と主張主体が明白である
- 「本運用計画の見直しが各方面で求められている」 ― 誰が発言したのか照会・反論できない
この表現は悪意あるプロパガンダに限らず、自身が報告書や論文を作成する際にも、説得力を粉飾するために無意識に混入しやすい点に注意が必要です。主語を明示し、根拠の所在を確定させる記述へ是正しなければなりません。
詳細解説
主語を伏せた受動表現(「〜と言われています」)が、合意の存在を暗示しながら照会先を消すという形を扱います。
くわしく読む
背景と目的
同じ内容が、書き方によって検証可能性を失うことの理解が目標です。「わたしは〜と思う」は反論可能ですが、「〜と言われています」は反論の相手がいません。
読む側と書く側の両方を扱います。自分の作文で使ってしまうのは、そのほうが強く見えるからです。動機まで言い当てておかないと、自分の文章の点検には届きません。
組み立ての工夫
他人の文章の分析で終えず、自分がレポートで使ってしまうところまで書きました。「そのほうが立派に見えるから」という動機まで明示しています。この巻は加害・被害の双方を扱う方針です。
例を「〜と言われています」の1文に絞りました。似た言い方はいくつもありますが、増やすと見分けの練習になります。ここで要るのは、書き手をさがす動作だけです。
補足と注意点
受動表現そのものが不正なのではありません。問題は、出所を書けるのに書いていない場合です。