ノート 20
事故記録アーカイブ
約2分
確証バイアスとチェリーピッキング
ここに出てくる話は、ぜんぶ作ったお話です。だれかをうたがうためではなく、たしかめるためのページです。
自らの仮説に都合の良いデータのみを無意識に集め、不都合な反証データを黙殺・破棄するチェリーピッキング。客観的リサーチを歪める最大の認知的欠陥に対処します。
調査を進める際、自説に都合の良い資料ばかりが目に入り、反証となる事実を無意識に無視してしまう認知バイアス(確証バイアス)は、誰にでも発生します。自覚なきまま「調べたら、やっぱり自分の考えが正しかった」という錯覚へ着地します。
この偏向は調査プロセスの4段階すべてで連鎖します。検索語を選ぶとき、開くリンクを選ぶとき、精読する箇所を選ぶとき、そしてレポートに採用する証拠を選ぶときです。各段階での小さな選択的収集が積み重なり、極端に偏った結論(チェリーピッキング)が形成されます。
1つのページだけを読むと、そのページのまちがいが、そのまま自分のまちがいになります。3つ開いて見くらべると、つぎにやることが決まります。同じなら、たしかめられた。少しちがうなら、日づけを見る。正反対なら、出しているところを見ます。
実務的な防護策は極めて明快です。調査対象の資料群の中に、反対を書いているものを1つ入れることです。対立する視点を意識的に1件混ぜるだけで、思考の閉塞は打破されます。
調査の過程で自説の誤りに気づき結論を修正することは、調査の失敗ではありません。「当初は〇〇と仮定していたが、反証資料の検証により△△であることが判明した」と記述できる報告書こそが、最も高い客観性と学術的信頼性を獲得します。
詳細解説
確証バイアスが、調べる過程の4か所で同時に働くことを扱います。対処を「反対を書いているものを1つ入れる」の1点に絞ったページです。
くわしく読む
背景と目的
バイアスが結論の段階ではなく語の選択・ページの選択・読む深さ・採用の判断の各段階で少しずつ働くことの理解が目標です。1か所ずつは小さくても、4回重なると出力は大きく傾きます。
組み立ての工夫
対処を1件に固定しました。「0と1のちがいが、いちばん大きい」と書いています。反対意見を何件集めるかではなく、ゼロでなくすことが最大の効果を持つためです。
「調べて考えが変わったら、それは失敗ではありません」と明記し、「はじめは〇〇だと思っていましたが、調べたら△△でした」という記述の型まで渡しています。
持ち帰りを「反対のことを言っている人は、なんて言ってる?」という他人への問いの形にしました。自分のかたよりを自分で点検するのはむずかしく、外から1件持ってくるほうが確実です。
補足と注意点
反対意見を採用しろ、とは書いていません。読んだうえで採らないなら、それも判断です。求めているのは目に入れるところまでです。
かたよりを無くす方法も扱いません。無くならない前提で、4か所のうち1か所にだけ手を入れます。