調査を進める際、自説に都合の良い資料ばかりが目に入り、反証となる事実を無意識に無視してしまう認知バイアス(確証バイアス)は、誰にでも発生します。自覚なきまま「調べたら、やっぱり自分の考えが正しかった」という錯覚へ着地します。

この偏向は調査プロセスの4段階すべてで連鎖します。検索語を選ぶとき、開くリンクを選ぶとき、精読する箇所を選ぶとき、そしてレポートに採用する証拠を選ぶときです。各段階での小さな選択的収集が積み重なり、極端に偏った結論(チェリーピッキング)が形成されます。

3つ開いて見くらべると、つぎにやることが決まるページ1ページ2ページ3見くらべる同じだったたしかめられた少しちがう日づけの新しいほうを見る正反対だった出しているところをくらべる
1つのページだけを読むと、そのページのまちがいが、そのまま自分のまちがいになります。3つ開いて見くらべると、つぎにやることが決まります。同じなら、たしかめられた。少しちがうなら、日づけを見る。正反対なら、出しているところを見ます。

実務的な防護策は極めて明快です。調査対象の資料群の中に、反対を書いているものを1つ入れることです。対立する視点を意識的に1件混ぜるだけで、思考の閉塞は打破されます。

調査の過程で自説の誤りに気づき結論を修正することは、調査の失敗ではありません。「当初は〇〇と仮定していたが、反証資料の検証により△△であることが判明した」と記述できる報告書こそが、最も高い客観性と学術的信頼性を獲得します。