ノート 23
事故記録アーカイブ
約2分
グラフ軸切断と印象操作
ここに出てくる話は、ぜんぶ作ったお話です。だれかをうたがうためではなく、たしかめるためのページです。
原点をゼロに置かず基底を切り詰めることで僅かな差異を劇的な格差に見せる軸切断グラフ。視覚的印象に直結する統計グラフの悪用事例と、数値データの直接検証法を伝授します。
統計グラフによる印象操作の巧妙さは、「掲載された数字自体には一切の嘘偽りがないまま、読み手に重大な誤認を抱かせることができる点」にあります。数値を改ざんしていないため、単純な誤りとして指摘することが困難です。
同じ4つの数字(22・21・20・19)を、2通りのグラフにしたものです。左はめもりを0から、右は18から始めています。数字は1つも変えていません。それでも、右は急にへったように見えます。だからグラフは、形を見る前にめもりを見ます。
多用される4大統計トリック
- 目盛の基底切断 ― 縦軸を0から始めず、途中から開始して僅かな増減を劇的な変動に見せる
- 期間の恣意的な切り出し ― 長期的な下降トレンドから、一時的に回復した特定区間のみを抽出する
- 比較軸の不当な非対称性 ― 母集団や単位系が異なるデータを同一グラフ上に並置して相関を捏造する
- ピクトグラムの2次元拡大 ― 数値が2倍のとき縦横双方を2倍にし、面積比として4倍の視覚的印象を与える
グラフの全体形状に目を奪われる前に、縦軸の最下部の数値、横軸の対象範囲、単位の明記の3点を最初に確認する規律が求められます。
詳細解説
グラフによる印象操作の4類型を扱います。とくに面積による誇張(絵グラフで縦横を2倍にすると面積は4倍)を気づきにくい形として挙げています。
くわしく読む
背景と目的
数値を改変せずに印象を変えられることの理解が目標です。したがって「まちがい」とは指摘できず、読む側が軸を確認するしかありません。
グラフを見た瞬間の印象を、いったん保留できるようにするのが目標です。印象は形から来ますが、意味は軸から来ます。
組み立ての工夫
確認箇所を3つ(縦軸の最小値・横軸の範囲・単位)に固定しました。形を見る前に軸を見る、という順序が要点です。
面積の誇張を最後に置いたのは、他の3つが軸の確認で足りるのに対し、これだけは別の注意を要するためです。
絵グラフの面積を最後に置きました。縦横を2倍にすると面積は4倍、という算数が1つ入るためです。
補足と注意点
作った人がだましている、とは書いていません。見せたいところを強めるのは、ふつうの作図でも起こります。
グラフの作り方は、表の巻(しらべノート23)の担当です。ここは読む側の3点だけを残しました。