ノート 03
事故記録アーカイブ
約2分
伝言ゲームによる情報劣化と誇張
ここに出てくる話は、ぜんぶ作ったお話です。だれかをうたがうためではなく、たしかめるためのページです。
悪意ある虚偽がなくとも、伝達経路の多段化に伴い前提条件や留保表現が脱落し、文言が短縮・断定・過激化していく情報の不可逆的変質メカニズムを検証します。
「明日の訓練飛行は、天候悪化の場合はシミュレータ室にて実施」という指示が、伝言の連鎖を経て「明日の訓練飛行は中止」へ変貌します。脱落したのは「天候悪化の場合」という条件節です。
話は人をとおるたびに、短く・強く・きれいになります。まっ先に落ちるのは「雨だったら」のような条件と、だれから聞いたかという出どころです。だれもうそをついていなくても、5人めには別の話になります。
このインシデントの核心は、伝達経路上の誰も悪意ある虚偽をついていないという点にあります。各仲介者は良心に従って「要約」し、伝達効率を高めようとしたに過ぎません。それでも5ホップを経由すれば全く異なる命題が形成されます。
伝達過程で歪曲されやすいのは定性的な形容詞です。「大規模な」「著しい」「迅速な」。自らが情報を受け渡しする際は、定性表現を排除して定量的数値に置き換えることで劣化を抑止できます。
詳細解説
伝達のたびに条件節と限定語が脱落する現象を扱います。しらべノート3の裏面にあたり、自分が伝える側のときの対処を含みます。
くわしく読む
背景と目的
誤りの発生に悪意を必要としないことの理解が目標です。各人は聞いたとおりに話しており、それでも5人を経ると別の話になります。
対処は、あいまいな語(大きい・たくさん・最近・近く)を数値に置きかえること。劣化の起点を塞ぐ方法です。
組み立ての工夫
例に「雨だったら教室でストレッチ」を選びました。脱落するのが条件節であることを一目で分かる形にするためです。
5人めで別の話になる、と人数まで書きました。数を出さないと、伝わるうちに変わることがめずらしい事故のように読めてしまいます。
補足と注意点
だれの話をうたがうか、という読み方はしません。5人のうちだれも悪くない、という前提を最後まで崩していません。
どこまで伝えてよいか、という線も引いていません。伝えること自体は止めず、あいまいな語だけを直します。